2021年10月20日

現場で育てるのが一番早い

言い古された言葉にOJTとOff-JTがあります。前者は仕事を通して人材育成を図ること、後者は私のような外部コンサルタントを呼んで社内研修をすることです。後者でも中小企業は自前で研修をする予算がないので商工会等主催の研修会に参加することが多いです。

当社も社内勉強会を企画しますが、みんな忙しいと言って継続しません。当社のように全国にクライアントがあるとスタッフ全員が揃うのは月1度程度です。それに学んだ方がいいのはわかっていてもそれが今の業務に直結していないとなかなかスタッフも乗って来ません。

とは言っても若手の育成は急務です。私と社長以外はみんな若手です。高度な技術を要する研究開発のノウハウは私がかって在籍した会社の研究部、商品開発部にいた先輩達を定年後、当社スタッフとして在籍してもらい、若手を育ててもらいました。

若手と一緒に現場に行って育ててもらいました。現場に一緒に行くのが一番上達が早いです。いわゆるOJTです。そこで製造のノウハウや工業用レシピの作り方、殺菌方法等を教えてもらいました。

しかし、コンサル業務でも商品企画のようなマーケティング色彩の強い業務は私の専管事項であまり若手に伝授する機会がありませんでした。

一般的なマーケティング知識は教えられますが、感覚やひらめきを要する商品発想や、さらにはクライアントとのコミュニケーション、距離の置き方、分担等は感覚的やセンスの部分が大きく、なかなか教えようと思っても伝わるものではありません。

当社研究開発スタッフも70歳を超えましたが私もあと3年で70歳です。そこで今年度は私の業務は若手を引き連れて行き、徹底的に現場のOJTを行なっています。

私が現場に行き、課題を持ち帰って、スタッフに指示しても臨場感がなく責任感も湧きません、スタッフは答えに窮すると私に答えを求めてきます。

クライアントとの直接やりとりの場数が成長の源です。臨場感溢れる現場に連れて行き、担当者としてスタッフを紹介すると先方も次からスタッフに連絡をくれます。そうやってようやく現場担当者と当社スタッフのパイプができ始めました。

経営は決して余裕はありませんが、出張経費をケチって人材育成ができないよりも使うべきお金は使って若手を育てた方がクライアントの役に立つのではないか思っています。教育の場を現場に置いた方が成長が早いです。
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2021年10月19日

人類を繫栄させたのは穀類

引っ越しして、自宅と会社の所要時間が徒歩で3分から7分に伸びました。たった4分ですが、往復で8分は距離が長くなったのを実感します。いいのは徒歩の距離が長くなったことです。

悪いのは東京にいる時はお昼は自宅でするのでいったんお昼時間は戻っていたのが超忙しい時はたった8分も惜しくてついつい会社で済ませます。

みんな近くの500円弁当を買います。500円弁当はコロナ最盛期は飲食店が閉鎖なのでずいぶん売れていました。店内調理はほとんどなく、埼玉当たりの弁当会社が11時半に搬入してお昼時間が売りさばくスタイルが多いです。

相変わらずおかずは冷凍食品だらけです。昔は副菜が冷凍食品でしたが最近はメインディッシュも冷凍食品です。例えば鮭の塩焼きやとんかつなどそうではないのでしょうか?

私も仕方なく食べる時がありますが食べません。それぞれ1口箸を付けてゴミ袋です。何が嫌かというと冷凍食品を使用していることではなく、食品添加物まみれが嫌です。

一番おいしく食べられるのは炊飯していある白米です。米だけはどんな省力化の安弁当会社も今日炊いたものを入れています。その米が価格が暴落して、弁当会社は喜んでいるでしょう。農家は泣いていますが。弁当会社に勤めている農家のせがれは喜んでいるのか?悲しんでいるのか??

正直、500円弁当の中ではごはんが一番おいしいです。それに私の周りにある地方のお母さんたちがつくった梅干しやおかずみそを探して来てごはんと共に食べます。そうすれば惨めなお昼が少しは優雅な気分になります。

現在、各地域で新しい作物を栽培して、それを農家の所得向上に資する事業を展開しています。ある地域の新規作物は「スペルト小麦」です。

スペルト小麦?何物なのか、日本では知名度が低いです。そこで当社社長に知人でレストランで調理をしていた女子が5〜6年前にスイスに在住してスイスで料理の先生の仕事をしていると伺い、オンラインでつながってスペルト小麦について話を聞きました。

最初の言葉は「スイスでは一般的に普及している普通の小麦です」とのことです。白い小麦(フラワー)に対して、全粒粉の小麦をディンケル(ダンケル)と呼び、普通にスーパーで販売し、みんなよく使用していますとのこと。

白い小麦に対してディンケル(ダンケル)は別の品種なのかどうか?は次に調べてくれるそうです。

私の高校の後輩も子育て後、子供が独立したのをきっかけにスイスに渡り、スイスの人と結婚した女子がおり、彼女にもちらっと聞いたらそんなに特殊な小麦の意識はないとのこと。これでパンを焼いたらどうなるか?楽しみが増えました。

人類を長きに亘り、繫栄させたのは穀類ですね。


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2021年10月18日

的(ターゲット)外れのターゲット論

昨日のブログはネタがなくなり、自分が土日祭日も会社に来て仕事をしていると言ったことを書きました。つまらない話で誰も読まないだろうと思っていましたが、予想を裏切り、ブログもフェイスブックも「いいね」が多かったです。

なぜ?私と同じような境遇の経営者や仕事師が結構いてその人達が共感したようです。ブログも正義感あふれる世の中批判よりも意外にも共感を感じるネタの方が受けることと土日祭日の休みの日に会社に来て仕事している人が多いのを知りました。

マーケティングで「ターゲット」議論が相変わらず廃れません。「ターゲットは誰ですか?」と2〜3流コンサルの常套文句です。それを受講生が答えられないと叱責を受けます。

でもよく考えると人様がどんな境遇にいる等わかりません。こっちが勝手に思い込んでターゲットと言うのは笑止です。マーケティングの実務を知らない大学の先生などはこの過ちをする。

当社が引っ越しして、新社屋が私の住まいから今までの反対方向になりました。京橋インターの近くになりました。そこの四つ角に立ち食いそば屋があります。営業時間は午前0時〜午後2時までと書いてあります。

午前中やっているのを見たことがないので多分午前0時から午後7時頃までと正午前から午後2時まで営業しているのでしょう。私がそこを歩いて通るのは午前6時〜7時頃です。深夜のドライバー向けなのかな?

お店のそばの道が広い割には通行車が少なく、路上パーキングになっています。そこに午前6時〜7時頃、なぜか?いつも高級車が結構な台数横付けされています。クルマから降りた運転者がそこで立ち食いそば店に入ります。高級車の運転手はいわゆる経営者を連想させるいい身だしなみのスーツの紳士がほとんどです。しかし、女性の客は1回も見たことがありません。

高級車に乗る人が毎朝来る立ち食いそば屋とは?相当にうまいのだろうと想像していました。しかし、いっぺん入って見ようという気にはなりません。店内が汚いのとお店から出ているだしや汁ににおいをかぐとこのそばは味は?普通の立ち食いそば屋レベルだとわかります。

ということは「クルマにはお金をかけるが、食には関心のない人が来ているのだな」と推察できます。しかし、この店はいいか、悪いか?いいに決まっています。だから営業しています。

ターゲット論でこのお店を「高級車に乗る富裕層がわざわざ行く立ち食いそば屋」と断定するととんでもないことになります。ではなぜ来店するのだろう?深夜から早朝まで営業しているから。高速道路の入り口に立地し、脇に自由に駐車できる道幅があるからかな?

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2021年10月17日

外の仕事が月〜金、内が土日

今年は忙しいです。10年位前の「6次産業化」真っただ中以来の忙しさです。当時は自宅に帰る時間もありませんでした。1年で170〜180回くらい講演・セミナーをやっていました。ちょうど55歳の頃です。

あれから10年以上経ち、確かに歳を取ったことを痛感しますが、同時にまだ行けるとも思います。50歳代後半から10年経ってこのくらいの体力の消耗劣化ですから、あと10年経っても70代後半でもうまく体をメンテナンスすれば行けそうです。

常に引退を考えて行動してきました。39歳で起業した時はせめて子供が大学を出るまで60歳まで頑張ろうと思っていました。その後はあわよくば中小企業診断士の資格と経験を活かして行政の中小企業支援機関にアドバイザーで月に10日程度相談業務をやれば何とか老後も行けるかな?と思っていました。

そうならなかったのは中小企業診断士の「総花一人コンサル」から現在の食と農へ特化したからです。最初の本を書いたのが50歳の頃でそれから「食と農のコンサル」へと専門化して行きました。そして今になりました。

今も働いているのは引退すると食えなくなるのとコロナから会社が倒産するかも知れない危機に瀕したからです。あれから変わらなかったのはこのブログの毎日執筆です。よくも15年以上も続いているなと思います。

なぜ続いているか?ずっと現役で現場に行くので情報に事欠かないからです。多分、書けなくなった時が引退です。しかし、出張先だと現場の話題を書けますが土日東京にいる時は話題がないです。まさに今日です。こんな時はこんなたわいもない文章でお茶を濁しています。

あの時期から比べると酒の飲酒量が1/10くらいまで落ちています。おかげでγーgtが正常値になってしまいました。しかし、その酒量もさらに落ちそうです。毎晩、読みたい本を持ってふとんに入りますが、5分と持ちません。寝つきの酒よりも寝つきの本です。

1日は長いか?短いか?が議論になります。一般的に何もすることのない人は長いと言いますが、それも当たっていないです。何かやろうとした時に丸々、1日は何かをやるには十分な時間量です。腰を据えて1日を使えば結構な仕事ができます。

私のような職業は月〜金は出張や人と接することに時間が取られます。しかし、それをやりっぱなしとは行きません。まとめたり、社内で指示したりの業務もあります。それには土日祭日を使うしかありません。

スタッフへの指示も具体的にどうするかを文章にしたり、体系化してスタッフが動けるようにしなければなりません。それが土日の仕事です。外の仕事は月〜金、内の仕事が土日祭日です。これをサラリーマンはすべて月〜金でやっているのだから凄い。



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2021年10月16日

顧客のためは本心は自分のため

奈良県月ヶ瀬に仕事で行って、お昼の時間になりました。過疎地域なのでお昼を食べるところがありません。そこで県(府)境をまたいで京都府の道の駅に行きました。

温(ぬる)くて、おいしくなくて、価格ばかり高いうどんにがっかりし、挽回しようと物販コーナーで大福を買いました。裏を見たら我が国最大手のパンメーカーの商品でした。2度がっかりでした。

大手食品メーカーが地域の顔をして商品を道の駅で売ってはいけません。例えば、清涼飲料業界には中小企業が主に製造しているラムネ、シャンメリー等6アイテムは大企業は発売しないという不文律があります。

食品メーカーにはそういったお互いを尊重し合う暗黙のルールはありませんが、あんまり露骨でがっかりしました。正直、「ここまで堕ちたか〇〇パン」と思いました。

マーケティングの世界で我が物顔でのさばっている言葉に「消費者のため」というのがあります。あの演歌歌手が「お客様は神様です」と言ったのを履き違えて、あるいは都合よく解釈して使うメーカーや流通がいます。

ある地方県で会社を大きく育て、大企業幹部も海外企業も学びに来る会社の会長さんが次のように言っています。「暖簾を掛けて手作りされている個人店。同じ事を3軒から言われたら実行。某・大手パン屋さん、コンビニさん、何回言われても対応しない事があります。なぜなら要望が個店さんのように顧客の意見でなく、大量生産、大量販売という自分達の事情による要望だからです。」(ママ) 

まったく、至言です。大手企業は消費者のためではなく、自分の会社の都合のために納入業者や原料業者に無理強いしています。本当に消費者(生活者)・お客様のためならそれは社会的観点からも経営観点から見ても実行するべきです。自らが一時痛みを感じても。それを弱い者に押し付けるのはクズのやることです。

昨日は2つ素晴らしい商品に出会いました。「すっぴん梅 塩分0の梅ピュレ」原料は梅のみです。一切食品添加物を使用していません。それで賞味期限は1年です。なぜ?ここがこの会社のノウハウです。

もう1つは「烏梅(うばい)」です。紅花で赤く染める時の媒染財です。赤がきれいに染まり、かつ定着し、色落ちしない機能があります。明治時代は近隣集落を含めると400の業者がいたのが、今は化学染料と安価な酢に取って代わられ、製造しているのは訪問した会社だけす。

2つとも中小企業分野商品です。この2社の凄さをつぶさに見ました。でもうまく行きそうになるとまた大手が参入するのでしょう、大企業は情けなや、自分で考えろ。
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2021年10月15日

過疎地域集落は廃れ続けている

奈良県旧月ヶ瀬村に行きました。正式には奈良県奈良市月ヶ瀬です。梅の郷や月ヶ瀬温泉といったフレーズが多く見かけられるので梅と温泉の郷と頭に入ります。実際に訪問すると山村の産業が今でも生きている素晴らしい地域です。

法律で言うとこの月ヶ瀬地域は山村振興法が適用される「振興山村」です。中山間地域さらに山村に向かっている私にとっては願ってもない地域です。当社がここで5回のセミナーを実施し、特にこの地域の特産農産・林産物である梅、お茶、しいたけ等を使ったドレッシング実習も行います。

初めて訪問して「月ヶ瀬梅の資料館」に入ったらびっくり。まず、奈良晒(さらし)と呼ばれる織物の産地の紹介があります。これは私の勝手な想像ですが、古墳時代に貴族が来ている貫頭衣はこの麻の晒ではないか?を連想させます。明日香で見たまこもだけも古代は大麻と並ぶ大事な繊維として使われていたようです。

現在は奈良晒(さらし)保存会が活動して月1回の勉強会で原料の「青苧(あおそ)」と呼ばれる大麻を紡いで繊維にするところから始まります。この作業は「苧積み」といい、手作業ですが、この出来不出来が仕上がりに大きく影響するそうです。

また、梅の産地で烏梅(うばい)があります。これは紅花染めに欠かせない発光剤だそうです。明治時代になるとその役目に安価な酢が使われる様になり急激に廃れて行きます。しかし、1軒だけまだその烏梅を製造しているところがあります。

資料館に入ると販売コーナーがあります。奈良晒(さらし)は反物で一巻10万円の価格でした。それでも技術と人件費を考えると相当に安い気がします。

食品は梅干し、梅シロップ、お茶、しいたけ煮パック等が売られています。全国産地で売られている商品形態ですが、びっくりするのはその原料の梅やしいたけのグレードが高いのと価格が安いことです。東京だとこの3倍の価格で販売されています。

20年ほど前に小泉改革といって規制緩和・新自由主義の美名のもとに郵便局や農協潰しが始まりました。その後もアベノミクス等経済政策が打ち出されますが、この20年日本はずっと不況です。負け続けです。それ以前のバブル時代までの高度成長の蓄えで何とか持って来ましたがその貯金も底をつきました。いい思いをしたのは規制緩和された利権を独り占めにした一味だけです。

20年経ち、小泉改革の負が過疎の地域集落及び、山村や中山間地域を破壊しています。地域の農林資源である魅力的な農産・林産物も耕作する人がいません。このまま行けば完全に廃れます。地域集落にこういった産業を維持して発展させて地域に経済的な恩恵をもたらすような組織が必要です。
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2021年10月14日

身の丈にあった年金プラス農業

ここ2日間の2軒の明日香村農業訪問で共通したのは生産者の2人に共通したのはJA出身であるということです。そしてさらなる共通点はJA定年退職後に農業をしているのとJAが主要作物にしている作物を生産していないことそしてJAに出荷していないことです。

JAは一般的にはかって米の統制経済を行っていた食糧庁の実行部隊でもありました。それから我が国が豊かになるにつれて農家→農協(JA)→市場→小売業(スーパー)・食品メーカー・外食店→生活者(消費者)の流れの大きな一翼を担っていました。

米がダブつき始めたのと裏腹に果樹・園芸作物(野菜)の需要が伸びてきました。その産地形成を担ったのもJAです。玉ねぎなどは北海道、淡路、長崎等季節で産地を変えながら年間供給できる産地分業が機能して安定した品質と価格での供給を可能にしました。

その後、トマトといちごの時代がやってきます。サラダ需要が伸びるとともにトマトの需要が増えました。また、クリスマスケーキから生食といちごの人気が高まりました。

新規就農でもこの2つの作物は全国的に振興されました。新規就農したトマト農家と昨夜、話しました。新規就農して8年になります。伸びたのはトマトを栽培する自分の腕(技術)、一方下落したのはトマトの販売単価。それにハウスで使用する重油代、肥料代、苗代は毎年上昇。販売単価が下落するので生産数量を増やしてもトータルの売上高は下落、経費は上昇、差し引き経営の悪化。

追い詰められている農家の自死も近くで2軒あったとのこと。自分は子供がいないのとアパート暮らしで住宅ローンがないので何とかその日暮らして生きていられるけど、教育費のかさむ年齢の子供がいる家庭はやりくり不可能。

それでもトマトといちごの栽培振興、産地振興、品種開発合戦は続く。その果ては何が待っているのか恐ろしくなる。この県のJAもついにトマト栽培での新規就農者育成を止めたそうです。

たくさん量が増えれば販売単価は下落します。ハウスのローンを抱えた中途半端な規模の農家は採算が合いません。人のことは言えません。当社も1年前まで銀座で外食店を経営していました。どんなに頑張っても高額家賃を回収する売上高にはならないことを知らされました。自前の土地と店舗だったら採算は取れますが。

自分の身の丈にあった農業経営とは?販売単価が下落しない作物とは?競争の少ない作物とは?自分と奥さんの2人が年金プラスで暮らせる農業経営とは?先祖代々の狭い農地を生かせる農業とは?中山間地域と山村地域にその答えがあるような気がします。

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2021年10月13日

平地の農業はロボットが中山間地域は人間が

昨日は明日香村の「奥明日香」と呼ばれる山間地域に入りました。ここのところ中山間地域と呼ばれる山村地域や里山地域を訪問しているのは農水省の中山間地域所得確保推進事業を受託して行っているからです。

明日香村の市街地から奥明日香に向かう途中に「稲渕棚田」という景観のよい地域があります。面積は約20町部くらいあります。ここはオーナー制度を行っており、年会費1口4万円で80組がオーナーになっています。1区画100u単位で穫れなかった場合の収穫補償は30kgだそうです。年間4回NPO法人が栽培・収穫指導を行っています。
ここにも耕作放棄田があります。山の上の方は灌漑、治水が天水に頼らざるを得ないのでオーナー制度でも人気がなく、廃田となっています。こういった廃田を無くすために国は中山間地域直接支払い制度を設け、所有農家に1反歩21,000円の支払いをしています。それでも耕作放棄田が増えているのが実情です。

さらに山に進み、奥明日香に入りました。壬申の乱で後の天武天皇と持統天皇が大友皇子との戦いの難を逃れて吉野・熊野に逃げた古道が今でもあります。この道を通っていると鹿が2匹あどけない表情で道にいました。我々を見てすぐ逃げましたが。

奥明日香地域の棚田はすでに廃田になっています。そこに新しい作物でマコモダケを栽培している農家があります。害獣ネットが棚田区画4面に張られています。このマコモダケと一昨日訪ねた新生姜が当社が行っている明日香村中山村地域所得確保推進事業の対象作物になっています。

現在はマコモダケを栽培している農家は10軒程度あります。米と同じ時期に水田に株を植えて今が収穫期です。収穫期間が2週間程度で米と同じで短いです。米は乾燥して備蓄できますが、マコモダケは生を調理して食することが多く、この時期限定の食材です。

しかし、健康機能からも注目されており、粉末、液体にして健康食品で販売する加工も増えています。昨日見学したのは元水田です。水は張ってありますが、雑草も多く生えています。そんな環境でも育ちます。もちろん農薬と肥料は必要としません。中山間地域農家の所得確保にもってこいの作物です。

私も10年以上前から栽培農家からの情報を聞いていましたが、あまり関心がありませんでした。今年、これを焼肉店に持ち込んで野菜を焼くのと同じように焼いて食べたらその食感とクセのない味に魅了されました。これはおいしい。食物繊維も豊富でダイエットにも最適。

日本の農業政策は矛盾もたくさんあります。平場(平地)はスマート農業がもてはやされ、ドローンでの農薬散布等IT化が進んでいます。農家もマニュアル通りに管理すれば農産物もできます。農家は単なるオペレーターです。これが進むと農家はロボットでまかなえます。人間は要らなくなります。

中山間の狭い土地ではITで農業はできません。人間がやる農業です。まず何を栽培するか?から長年の技術と最新の知恵が必要です。機械も狭い農地には入りません。人力による農業です。

私は平地の農業はロボットがやり、中山間地域の農業は人間がやる農業と思います。


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2021年10月12日

狭い農地を生かして少量多品種栽培

東日本大震災が来る10年前頃までよく東北に行っていました。東北農家の栽培品目は圧倒的に米でした。土地改良事業で農地の集約が進み1枚1町歩、3町歩といった九州の農家出身の私には信じられない面積の田んぼが作られていました。

また、生産者の集約は進み、1農家(あるいは1農業法人)で30町歩、50町歩耕している農家もいました。しかし、現在、米の価格が暴落しています。彼らは飯は食えているのだろうか?飯を作っている人が飯が食えない。そんな事にならないで欲しい。

私自身は狭い農地に春夏秋冬の作物を植えて多品種の作物を人力で栽培している農家に関心があります。農産物をマスで管理するのではなく、1個1個を子供を育てるように育てていく。そんな農業です。

昨日は奈良県明日香村の中山間地域の農家を訪問しました。浅山さんは77歳の農家です。奥様と一緒に農業をしています。昨日、見せていただいた3反歩の畑に15〜16種類の野菜が植えてあります。大根、にんじん、かぶ、水菜、白菜、玉ねぎ、かぼちゃ、さつまいも、カリフラワー、海老芋、しょうが等です。

年間にすると輪作障害を避けるために、この3倍のアイテム数の野菜を生産している事になります。昨日の私の目的は新生姜(しょうが)でした。畑では虫類が元気にはって、動き回っています。肥料は有機質肥料を使用し、特に牛糞の堆肥を使います。

牛糞はみみずが繁殖します。そのご馳走を狙ってもぐらがやって来ます。もぐらが通り道を作ってくれるので、もぐら道には今度はねずみがやって来ます。畑は見事なまでのイノシシ対策の電気柵で囲ってあります。しかし、イノシシはしょうがはさつまいもやかぼちゃの穀類は好きですが、しょうがは食べないそうです。そして最大のごちそうはみみずです。みみずを食べに畑にやって来る。

しょうがは5月に定植して、今の10〜11月に収穫します。そのまま出荷するのが「新生姜」でこの時期だけの販売、一般的にスーパーでよく見るしょうがはそれを保管して販売するいわゆる「土生姜(つちしょうが)」と呼ばれるものです。

現在77歳の浅山さんは勤め人の頃は兼業農家でしたが、定年後奥様と一緒に専業になりました。今の畑の土を作るのに10数年がかかったといいます。しょうが赤土によく育つそうで明日香ではそれこそ飛鳥時代から栽培されていました。装飾壁画で有名な高松塚古墳も発見されたのはしょうが畑です。

農産物の売り先は100%「道の駅飛鳥」です。昔は地域農協がありましたが今はJA奈良県で1つになってしまいました。農協の根幹業務である営農事業が失われてしまった。「今のJAは営農といえば栽培技術だと思っている、農協の営農とは農家の生産増大と合わせて販売先開拓である」

小泉政権で郵便局とJAが槍玉に上がり、破壊されました。同時に田舎地域の生活インフラも破壊されました。もう一度、農村地域、田舎地域に昔、農協と郵便局がやっていた機能を作る必要があります。
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2021年10月11日

ここにも凄い達人がいた

私が人様に送るかんきつは二丈赤米産直センターの糸島はるか、三重県紀宝町ハギ農園のマイヤーレモン、長崎県平戸市の善果園の平戸夏香、鹿児島県屋久島の白川茶園のたんかん、ぽんかんです。

それぞれ収穫時期が短く、希少性も高いのでそれが採れる時期を覚えておいて送ります。希少性が高くなっているのは人気が出ているためもありますが、現実は栽培者の高齢化と収穫要員の減少のためです。

ではスーパーの目玉、特売温州みかんは送らないか?送りません。生産者ー農協ー卸市場ースーパーの販売経路が出来上がっており、JA規格の大玉で、しみ一つないぴかぴかかつ適度の甘いみかんが「特撰ふくおかみかん」、「特撰くまもとみかん」と書かれて売られています。

その類のものを私が贈ると私も失笑を買います。鳥巣研二も落ちぶれたものだと。鳥巣研二だから「贈る何かがない」と送りません。

村上浮子さんは熊本県熊本市河内町のみかん農家です。河内みかんと言えば名の知れた産地です。当然、村上家もみかん農家です。しかし、面白いのはご主人のみかん畑と浮(うき)子さんのみかん畑は別々です。

仲が悪くてそうなったのではありません。みかん栽培に対する考え方が違うので畑を分けてお互い干渉しない栽培をしています。ご主人の慣行栽培に対してうき子さんはうき子栽培法を行っています。

うき子さんは私よりも少し年上なのでお嫁に来てからみかん栽培歴は半世紀は立っているはずです。いつ頃からご主人栽培法と分かれてうき子栽培法になったのか知りません。

私がこのみかんを人様に贈るようになったのは昨年からです。いただいたものが箱の中全てそばかす美人だったのでB級品を贈ってくれたのか?うき子さんをよく知る知人に聞いてみたら「いや、すべてがそばかす美人です」とのこと。

食べるとすぐわかりました。酸味が違う、酸味が美味です。それから農産物のわかっている知人たちに送るようになりました。わかっていない人に送ると「こんなB級品を送って来て」と言われるので。

うき子さんはクレバーです。箱に入っているメッセージは3項目です。「栽培方法」、「私の食べ方紹介」、「生産者」です。これにはコンサルの端くれである私も参りました。この3つが食べる人が一番知りたいことなので。

特に栽培方法は素敵です。「みかんの樹には蜘蛛の巣があり(ダニを食べてくれる)、圃場を草切すると数えきれないほどの赤とんぼが飛んでくる(虫を食べてくれる)また、草払後、イノシシがミミズを食べに畑を耕してくれる(ミミズを食べてくれる)自然のサイクルで、特別の栽培をしています」
posted by tk at 07:05| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする