農水省の中山間所得確保事業の案内で、鹿児島にやって来ました。中山間地域は農地も狭く、場所も山あいの不便なところにあり、そこでコメをつくると補助金が出ます。その補助金が出てもそれでも誰も作らなくなっています。プレヤーがいない状態です。
それではとコメに代わる作物の導入ということでこの事業があります。当社は全国の中山間地域で2年間この事業をやっています。この出張も来年度もこの事業に手を挙げてもらうためのものです。
しかし、ここに来て廃田、棄田が急速に進んでいます。中山間地域にはもう耕す人がいない状態です。平均年齢70歳代の集落が平均、通常です。その人達も実家が農家だったけれど、自分達はサラリーマンで、実際の米づくりは作業委託しており、コメは作れない人がほとんどです。
できるのは自分の家の管理と集落の共同作業くらいです。ましてやコメに代わる新しい作物を導入と言ってもその意欲さえ出て来ません。このまま行けば確実に10年後はそういった集落は破綻、消滅します。
寿命が延びて定年帰農で60歳から実家に戻った人たちです。その人たちの多くは戦後のベイビーブーマー、その後の高度成長期を生きた人です。年齢は75歳半ばです。いくら元気でも10年以内にその労働力は確実に消滅します。
働き手を海外に求めており、この町も昨年12月には今まで300人だった外国人労働者が450人一挙に1.5倍まで増えました。その後、このペースで増えると2〜3年後は確実に外国人労働者の数の方が日本人を上回ります。
あるレストランに入りました。大型店ラッシュの頃に作られたこのお店はそれなりにお客さんが入っています。席数全体の7〜8割程度の入りです。しかし、実際に食べている人よりも料理が出来上がるのを待っている手持ち無沙汰の客の方が多いです。
つまり席数は多いので入店は可能ですが、厨房のコックが1〜2名です。オーダーしてから料理が来るまでに1時間待ちです。このお店もオペレーションは事実上、崩壊しています。
お客も大半が高齢者、かってファミレスといえば子供の声がうるさく、閉口したものですが、現在は何の声も聞こえません。ただ料理を待つ高齢者の集団がそこにいるだけです。
個々人の寿命は延びたけれど社会は終焉に向かっている気がします。