そんなに仕事のできる人はいません。所詮、人間なのだから。スーパーマンはいないし、大方の人が50歩、100歩です。仕事にできる人は仕事に対するやる気や責任感、達成意欲が高く、かつ約束を守ると言ったビジネス常識に長けている人です。
それよりももっと大事なのは「自覚」です。この自覚がやる気や達成欲よりも上位にある気がします。いくら会社がスキルアップの研修・セミナーをやっても本人に自覚がなければ成長はあり得ません。
では仕事のできない人や、自覚のない人を成長させるにはどうしたらよいか?その人を組織人として見ないで個人で見る。仕事に関しても○○株式会社の社員ではなく、個人でお付き合いをする。するとその人はそんなに仕事のできない怠け者でもない。
極めて普通の凡庸な生身の人間なのが見えて来ます。期待する力量の人ではありません。その人に期待しているので腹立たしくなるだけです。その人は何で上司に怒鳴られなければならないのか?と思っています。
むしろ仕事に振り回されて、支配されているのはこっちの方なのかも知れません。単なる個人で付き合うとその人のよさが見えてきます。今まで見えなかった優しさや仕事面では感じられない熱意が見えてきます。
かつ、彼の属する組織に欠陥がある場合もあります。トップが仕事に対する理解がない、推し進めようにも進まない環境に置かれていることもあります。
「罪を憎んで人を憎まず」という言葉があります。ビジネスだったら「落ち度を憎んで人を憎まず」と置き換えられるでしょう。確かに仕事が人生の全てではありません。
だから、「一社員のレベル=会社のレベル」と見るのも間違っています。会社もいろんな組織があり、そこにはいろんな人がいるということです。
ここ10年間の日本の凋落が話題になります。また、ここ10年でのしあがった世界的な企業も話題になります。それからすると日本人そのものが負けです。でも日本人一人一人の個人を見るといかなる国の国民よりもそんなに劣っているとは思えません。不幸な人生を歩いているとも思えません。凡庸な国になったということです。
心が会社や仕事にない社員をどう処遇するか?難しいです。辞めさせるか?育てるか?の議論になります。「放っておく」という手もあります。私はその3番目です。でも「放っておく」と会社への不利益も多いです。そうなると会社の経営が苦しくなります。
さあ、どうしたものか?昨夜は経営者2名の方々にそのよい方策を聞きました。答えは「相手が変わらないなら自分が変わるしかない」でした。やっぱりね、私の場合はスタッフを「組織人」で見るのを止めて「一個人(人格を有する)」で見るべきでしょう。過大の期待もしないし、失望もしない。