先週、いくつかの会社を訪問しましたが、そのうちの2社に共通点を見つけ、感動しました。1つは石垣島の「石垣の塩」です。東郷社長が自ら空港まで出迎えてくれました。そのうちに従業員から電話があり、「わかった」と言って向かったのは冷凍倉庫でした。
そこから本まぐろを取り出し、飲食店に配達です。すると時間が早かったせいか不在でした。怒りもせずに、一度冷凍庫から出したものをまた販売するわけにはいかないので「鳥巣さん、夜食べよう」と夜、思いがけないご相伴に預かりました。私どもだけではなく、そのまぐろは当夜のお客様全員にふるまわれました。
驚いたのは当たり前のように従業員が手が空いていれば社長まで配達員に使っていることです。それを当たり前のこととして社長がやっています。社長夫人は今でもバンに乗って「石垣の塩」を配達しています。
私は「石垣の塩」社には15年前から行っており、オフィス内もよく知っています。東郷社長の机は従業員と同じ小さい机です。違うのは机の上に決済用のハンコ箱が置いてある事だけです。
東郷社長は大学卒業後、就職する気はサラサラなく、最初から起業です。いろいろ商売をやって失敗し、中には人の保証人でつまずいたりしながら20年ほど前に「石垣の塩」を発売して、今があります。
その起業時のスタッフは東郷夫妻と同い年位なので私と同じで60歳後半です。定年退職もなく、いくつになっても本人が辞めると言わない限り勤めています。だから社長への口の利き方も同僚・仲間です。
石垣島から帰り、信州の伊那食品工業を訪ねました。今や世界に名の知れた信州発のエクセレントカンパニーです。井上会長が出迎え、自ら全工場と全会社施設を案内してくれました。
最初、原料倉庫を訪ねました。そこで作業着を従業員が一人、倉庫前に座り込んで缶コーヒーを飲みながら煙草を吹かしていました。会長がクルマから降りても立ち上がりもせずに、会長とため口をきいています。会長も当たり前のようにその人と談笑し始めました。
それから各工場を回りましたが、そこにいる従業員が我々には挨拶してくれますが、会長に対しては取り立てて態度も変えず、普通の同僚への応対です。
夜は会社のレストランに案内してくれました。前掛けをしたホール担当者がいました。名刺交換したらこの会社の監査役でした。今年定年だったと紹介されました。会長に向かって笑いながら「定年したら給料が下がった」と文句を言っていました。しかし、この会社も望むならこの監査役のように年齢制限なくずっと勤務してよいそうです。
もっとびっくりしたのは会長と会食が始まったら配膳係の監査役も一緒に会食の席に着きました。さらに我々を迎えに来てくれた若い従業員も席に着いて一緒に会食です。我々は3名、この会社側は会長、若い従業員、レストランのホール担当者3名です。その若い従業員もリラックスして会社のこと、家族のこと、仕事のことを大いにしゃべりました。
これが極意ですね。地位・ポストの名称(上下)はあっても関係ない。仕事だけでなく発言、行動は対等。従業員が伸び伸び仕事をしています。これぞ、エクセレントカンパニー。