2021年09月02日

まず生産現場を学ぶことから

農業体験ブームです。この5月6月の田植えシーズンは田植え体験のイベントや催し物が各地で行われていました。しかし、農家がそういった田植えをすることは実際はあり得ません。田植え体験で行われている手植えは昭和40年代前半にほぼ消滅しています。

農家自体が田んぼはあっても自分で耕作しているのはわずかです。ほとんどが米作専業農家に生産を委託しています。というより田んぼ自体を預けて田植えも収穫も水田管理をやってもらっています。

そして1反(10アール)の出来高7〜8俵(1俵=60kg)程度に対して農地所有者は1俵(60kg)程度を受け取ります。だから生産物の大半は耕作してくれる農家の取り分になります。

私の実家だと2町弱の田んぼを米専業農家に耕作してもらうと1000kg程度の米を受け取ることになりますが、老母がそんなには食べ切れません。その後はどうしているのか?一度母親に聞いてみたいです。

実家みたいな近くに田んぼを作ってくれる農家があるところは幸いです。里山や中山間地域にある一区画が狭い田んぼは耕作放棄田になっています。一度、耕作を止めた田畑は再び生産を行うのは至難です。そのまま森林に戻ります。

当社は今年度、農水省中山間地域所得確保事業を全国の7地域で行っています。中山間の狭い農地に付加価値を持つ作物を栽培して中山間農家の所得を確保する事業です。7地域のうちの3地域はいわゆる米麦といわれる穀物で所得向上を図ります。

狭くて農作業が至難な中山間地域では平場と同じ作物を作ったのでは採算に合いません。そこで候補に上がったのが1地域は赤米・黒米です。また1地域はもち麦等の雑穀です。さらに1地域はスペルト小麦と呼ばれる古代からヨーロッパにある小麦です。

米が過剰なのにまた穀物を生産してどうする気か?といわれそうですが、米の需要が減退する中、これらの穀物は需要が旺盛なのです。特に健康志向からか?美味しいからか?希少性からか?その穀物の機能が評価されています。

ただし、見慣れぬ作物なのでどうやって食べるか?これを食べるとどんなメリットがあるか?どんな商品にすれば生活者が受け入れてくれるか?また調理法はどうするか?等マーケティング上の課題解決(というより魅力)のシナリオを作っていきます。

この事業のために当社の若いスタッフを農家に鍛えてもらう意味もあり農業現場に入れます。私は農家出身なので農作業がまだイメージできますが若いスタッフはみんなほぼ初体験です。

雑穀の作付け、スペルト小麦の作付け体験など滅多にできるものではありません。こういった体験を経てどうやってこの作物に付加価値をつけるかを学ばせたいと思っています。手植えの田植え体験など農業といえるのかしら?(おっと言い過ぎました、農家のせがれに免じてお許しを)
posted by tk at 07:19| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする