2020年06月19日

農業は自己実現であると同時に奉仕である

仕事とは何か?金儲け?日本近代の会社や経済の仕組みをつくった福沢諭吉や渋沢栄一の書を読んでも仕事・事業は金儲けとはどこにも書いてありません.むしろ仕事は奉仕であるという考え方です.

アメリカでは仕事は金儲けという思想が強いように思います.アメリカンドリームとは大金持ちになることです.日本でも事業を成功させ、大企業に育てた人の名言集がベストセラーです。ということは今の日本も仕事=金儲けです。後から道徳をくっつけています。

私が物心ついた頃から大金持ちのなった人は不動産所得、株の大化け、最近ではネットでのビジネスモデルに成功した人です。そして会社を早く売って使い切れないお金を手にした人です。

最近、農業に参入した人を取材しています。農業の世界でリッチマンになろうとしたら生産規模拡大ですが今までの経営手法でした。たくさん作れば、コメがそうであったように政府が買い上げる価格が決まっているので売上高は相当なものになります。

買い上げ制度は無くなりましたが、たくさん作れば生産コストが抑えられて、実入りがよくなるという手法です。でもそれをやると農薬、化学肥料まみれの農産物ばかりになります。あるいは面積の広い国で作ったものが有利になります。

そのためには当然、生産設備や圃場の整備が必要ですが、それは補助金や一部は融資で行います。しかし、農業をすることとたくさん売上高を上げる事はあまり関係ないような気がします。現在、単純掛け算の世界はビジネスモデルとして人の心を動かすものではないような気がします。

農業以外から参入する人の多くは「田舎暮らしが好き」、「幼い頃から農業に憧れていた」と言います。反面、農家出身の人は農家を継承していない人がほとんどです。親が「百姓では飯は食えんぞ」と言っているからです。

実際、霞を食べて生きていけないわけですから、当然対価という商行為は発生します。農産物を販売して、対価を得てそれで生活して、農業を続けます。

取材をしていて共通しているのは農業を「自己実現」としていることと同時に「奉仕」の精神を持っていることです。いや、奉仕の精神ではない、実際に奉仕しています。農業は自己実現であると同時に奉仕です。損得だけではない、人間同士の心のふれあい、絆を大切にしている人が多いです。農業をするということは経済行為の原点に立ち返ることではないととつくづく思います。
posted by tk at 08:32| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする