2020年05月12日

食事に対する意識の違いで食べる食品も変わる

新製品のアイデアを考える時、我が国の食生活を振り返ると面白いです。まったく世にない味の素のような商品、あるいは他国にはあるけれど日本人が食べたことのない食品、例えばカレー、マヨネーズのようなもの、さらには馴染みのある食べ物を時代に即するインスタント化、便利化によって市場を作っていったもの、例えばインスタントラーメン、カップヌードルのようなものがあります。

これらはそれまでに日本人が経験していない食べ物、つまりは市場を創造した食品です。元祖が出た後に雨後の筍のように後追いが出て来たにもかかわらず、どのメーカーかがそれをはね除け、トップの座にいます。

それに比べて昔から日本にある商品、醤油や味噌や食酢さらにお酒の原形は自家製です。世の中が豊かになるにつれて分業が発達してから、江戸時代頃から専門の味噌屋、お酢屋等が生まれて来ましたが、元は地域の地主層が年貢米の活用でみそ、醤油、清酒等の醸造業に端を発します。

醸造は発酵が必要なので、麹や有用な菌との向かい合いです。菌が上手に、美味しく活動できるような状態を整えてあげることが必要です。技術とは菌や麹の実力を発揮できる能力を言います。

そういった発酵産業の中で、例外的に機械や装置が主役になって大量生産に成功したのは醤油です。醤油は完全に装置産業です。それに続いたのは食酢もそうです。量販店やスーパーで販売している特売品種の醤油やお酢はみんな装置産業で製造しているメーカーのものです。

メーカーの技術者の仕事は装置をミスなく動かせて、かつ減量の無駄なく製造できてコストを安く製造できるかです。合わせて安全、衛生的な製造環境を作れるかどうかです。ミスのない作業といかに低コストが至上命題です。

それに対して、地域農産加工食品(地域料理の加工品化、地域に根差した醸造業等)にとって技術とは料理を作るように機械、装置を包丁、まな板のように使いこなせるかです。醸造業の場合は主役の菌が最大限に活躍できるサポートができるかどうかです。

求められているものが違います。スーパーに行っても冒頭に書いた食品は大企業が棚を占めていますが、後者の味噌、食酢、加工特産品は地域の中小企業の売り場が広がっています。時代が変わりつつあります。

醸造で菌をうまく働かせれば食品添加物を使う必要がない、あるいは手作り製造すれば、あるいは包装資材をうまく活用すれば、食品添加物の手を借りなくても製造できる。そういった製造技術も高まり、それに符丁するかのように、こういった食品や嗜好品を支持する層が確実に増えています。

その代わりに制約もあります。今の技術や原料や包装資材では製造できない商品もあります。そういったものは食品添加物に逃げないで、発売しないといった会社の意思や方針も必要です。
posted by tk at 07:12| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする