2019年09月12日

冷えたトマトやスイカは農産物ではない

冷えたトマト、冷えたスイカ。冷蔵庫の中からこういった野菜や果物を取り出して鮮度を自慢する。これは単なるパフォーマンスです。

トマトは夏の野菜です。灼熱の太陽の中でトマトを収穫する時トマトは煮えたぎっています。これが本当の新鮮なトマトです。それはスイカもそうです。美味しいスイカは冷えている?畑のスイカは生あたたかいです、清涼感などありません。

糖度の高いとうもろこしは大人気です。でもとうもろこしは収穫した時から糖度が下がり始めます。甘いとうもろこしは農家が未明に起きて収穫してきたものです。

刺身は冷蔵庫で冷やして鮮度を保っていただきます。漁れた魚を船上でさばいて食べると生温かいです。まだ身がピクピク動きます。

生産収穫現場と消費現場には時間のズレ、距離のズレがあります。一番大きいズレは意識のズレです。生命を維持するため、自然界からの動植物を捕獲、収奪して食料は我々の生活の場に姿を現します。

私は食と農を仕事にしていますが、農作業の話はあまりしません。農家のせがれである私は農業の過酷さを垣間見る程度ですが、見て育っています。とてもやわな気持ちでは農業はできるものではありません。

真夏の農業は40度近い炎天下で行われ、ハウスの中もすぐに50度近くまで気温が上がります。先週の台風の被害で千葉農産物が壊滅的な打撃を受けています。先々週の水害で北部九州も甚大な被害を受けています。

補償のための共済が発動され、その何割かは補償されますが、生産者の気持ちを思うとただただ言葉がありません。農家にとって災害は残酷な仕打ちです。特に高齢者はとても再び立ち上がれません。それで農業はますます衰退していきます。

これから農業をやろうという若者も増えています。自然の摂理を受け入れることとそれにめげずにまた立ち上がる強靭さ、それらをぜひ身につけて欲しいです。この私にはそれができませんでした。
posted by tk at 06:01| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする